沖縄島南部糸満周辺,活断層と琉球石灰岩,石灰岩堤

この地域は島尻層群泥岩が分布する丘陵である(氏家・兼子 2006b).1948 年地形では波浪状丘陵(小起伏丘陵)と幅の広い盆状谷が分布する.この地域は地形改変が著しい地域である.本土復帰以降急速に進行した圃場整備事業(柴田ほか1995)や,那覇市などの都市部からの人口流入により宅地造成が広く行われた地域(渡辺 2000)である.島尻層群の泥岩は重機による掘削等が容易なため,波浪状丘陵(小起伏丘陵)を切り崩し,その土砂で谷埋めを行い平坦化造成による大規模な地形改変が行われた.そのため、大規模な切土と盛土が隣接して分布する地域である.

この地域は,島尻層群泥岩を基盤とし,標高数十m以下の,波浪状丘陵地形をなす(氏家・兼子2006b).島尻層群泥岩は固結度が低く風化や侵食に対して極めて受食性が大きい.被覆する琉球石灰岩が剥離され基盤である泥岩が露出し形成された丘陵地形で,小起伏丘陵と広い盆状谷が主要な地形要素となる.一般の丘陵・台地の高度関係とは逆になること,谷密度が小さいという特徴がある(沖縄県 1983).
この地域は国場川とその支流の長堂川,饒波川が西方に流下する.それぞれの流域の分水嶺は細長い丘陵の嶺として連続し,広い谷地形のため尾根線の方が樹枝状に見える.1948 年地形図では波浪状丘陵(小起伏丘陵)と幅の広い盆状谷が東西方向に湾曲分布する.丘陵地域の大半が広い盆状谷からなり,その平坦な谷底低地から緩傾斜の丘陵斜面へと続く.
本地域は沖縄島中南部で最も丘陵が広く発達している.一方,他地域では台地が開析された地域に小規模に分布する.沖縄県(1983)では,この原因が中城ドーム( Flint et al.1959)の隆起作用と密接な関連を推定している.
この地域は地形改変が著しい地域である.本土復帰以降急速に進行した圃場整備事業や,那覇市などの都市部からの人口流入により宅地造成が広く行われた地域であり,これらの地形の多くは改変された.


地質図Naviによる







 


by GIS沖縄研究室