国土地理院ジオイドラスターデータ

QGIS

本記事では、国土地理院が公開しているジオイドモデル(JPGEO2024.isg)をGeoTIFF形式に変換し、QGIS等のGISソフトで利用するためのツールと手順を紹介します。なお。この記事は、教育・研究目的でのジオイドデータの利活用を支援するものです。

元データは必ず国土地理院公式サイト
https://www.gsi.go.jp/buturisokuchi/grageo_reference.html
から取得してください。また、ジオイドデータ自体の利用や二次配布にあたっては、上記ページの「コンテンツ利用規約」および「測量法」等にご留意ください。

【スクリプトの利用条件についての補足】

本ページで公開している「GeoTIFFファイル生成Pythonスクリプト」は、教育・研究・個人利用を主目的として公開していますが、スクリプト自体はMITライセンス(またはBSDライセンス)としているので自由に利用可能です。

ただし、このスクリプトによって変換・生成されたGeoTIFF等の成果物の商用利用や再配布については、元となる国土地理院ジオイドデータの利用規約および測量法に従ってください。特に商用利用・二次配布を行う場合は、原則、国土地理院への申請・許諾等が必要となります。詳細は国土地理院「ジオイドデータの利用について」ページ(https://www.gsi.go.jp/buturisokuchi/grageo_reference.html)をご確認ください。

ご利用にあたってのご注意
本記事で案内するGeoTIFF変換手順やツールで生成したデータは、あくまで利便性・解析目的での二次利用のためのものです。
変換後のGeoTIFFデータは国土地理院の公式測量成果ではなく、精度や品質について国土地理院の保証を受けることはできません。
また、GeoTIFFデータやその派生物の営利利用・再配布・販売などを行う場合は、国土地理院の測量法・利用規約等を必ずご確認のうえ、必要な手続きや申請を行ってください。
公式な測量や高精度が必要な用途では、必ず国土地理院の公式成果物(ISGファイル等)をご利用ください。

国土地理院ジオイドデータの入手

2025年4月より、国土地理院から新しいジオイドモデル「ジオイド2024日本とその周辺」が公開されています。あわせて、ジオイド高を計算するためのソフトウェア
「『ジオイド2024日本とその周辺』および『基準面補正パラメータ』の提供」
https://service.gsi.go.jp/kiban/app/geoid/
も利用可能です。

ダウンロード可能な主なファイルは以下の通りです。

JPGEO2024.isg:「ジオイド2024日本とその周辺」
Hrefconv2024.isg:「基準面補正パラメータ」
JPGEO2024+Hrefconv2024.isg:No.1とNo.2を足し合わせたファイル
geoidcalc_win64.exe:内挿計算プログラム(Windows 64bit用)
geoidcalc_linux_x86_64.tar.gz:内挿計算プログラム(Linux x86_64用)
input.txt:内挿計算プログラム用の入力ファイル
manual2024.pdf:「ジオイド2024日本とその周辺」と「基準面補正パラメータ」の説明書

この中で、『JPGEO2024.isg』が「ジオイド2024日本とその周辺」のラスターデータ本体です。

ジオイドについて

ジオイドそのものや計算の原理については、
https://www.gsi.go.jp/buturisokuchi/grageo_geoidmodeling.html
を参考にしてください。

今回扱うジオイドデータは、
の数値データに相当します。データの詳細説明も上記ページから確認できます。

ジオイド・モデルファイル『JPGEO2024.isg』

『JPGEO2024.isg』は、ISG形式(テキストデータ)で提供されています。緯度1分・経度1.5分ごとの格子点(約2km間隔)で日本および周辺のジオイド高が収録されています。
ISG形式は、国際測地学協会(IAG)の「国際ジオイド事業」ISG(International Service for the Geoid)が定めたフォーマット”ISG format 2.0“です。

GeoTIFFファイル生成スクリプトと処理手順

(1)GeoTIFFファイル生成pythonスクリプトの入手
https://www.gis-okinawa.jp/2025c/isg2geotiff.py
からDLできます。python3が動く環境で、ターミナル(WindowsPowerShell)を起動して、ご利用ください。

(2)Pythonパッケージのインストール
本スクリプトでは、Pythonの追加パッケージ「numpy」と「rasterio」を使用します。
これらは標準ではインストールされていないため、事前にインストールが必要です。
ターミナルを起動して、
『pip install numpy rasterio』
のコマンドを実行してください。
すでに「numpy」と「rasterio」がインストールされている場合は、このインストール作業を行う必要はありません。

(3)スクリプトとデータの準備
適当な場所にフォルダーを作成し(この例ではD:ドライブにpythonフォルダーを準備した)、pythonスクリプト『isg2geotiff.py』とデータ『JPGEO2024.isg』を移動する。

(4)ターミナルの起動とディレクトリの変更
ターミナル(WindowsPowerShell)を起動、ディレクトリを上記のフォルダに変更する。
コマンド『cd d:\python』を実行。PCでは『¥』キーを使うとしたの画像の『バックスラッシュ』になる。

(5)isg2geotiff.pyの実行
コマンド『py isg2geotiff.py』を実行。

少しすると、『GooTIFF書き出し終了:JPGEO2024_geoid.tif』を表示して、変換完了になります。

GISでの利用

JPGEO2024_geoid.tifは、GISソフトで利用可能です。QGISで利用した例を図に示しています。
データの諸元は、
nrows = 2101、ncols = 1601
緯度ピッチ = 0°01’00″、経度ピッチ = 0°01’30”
データ = 32ビット浮動小数、NODATA値 = -9999.0
座標系:EPSG:4612(日本測地系2011/GRS80)
となっています。

コメント

  1. メールにて問い合わせがありましたので、
    【スクリプトの利用条件についての補足】
    を追加致しました。
    ご理解のほど、よろしくお願いいたします。